直線上に配置

機能性食品


 食品には大きく分けて三つの機能があります。第一の機能は、生命の維持に不可欠なエネルギー供給源、栄養素供給源としての栄養機能。たんぱく質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンの五大栄養素がこれに当たります。

 第二の機能は、「おいしさ」を満足させる感覚機能。感覚を刺激して、食欲を増進させるような成分で、甘味、酸味、塩味、苦味、旨味の五味のほか、辛味、渋味、香り、色などがこれにあたります。
 辛味は温覚と痛覚で感じる皮膚感覚、渋味は舌粘膜の収斂(しゅうれん)によって起こる皮膚感覚です。以上は<化学的な味>ですが、これに対し歯応えや歯触わり、のどごしといった味覚要素を<物理的な味>といいます。

 そして、近年にわかに注目されているのが、食品の第三の機能である生体調節機能です。
具体的には、免疫機能を高める、高血圧やガンなどを防ぐ、神経系や消化機能を調節する、老化を抑制するといった機能です。
 たとえば、イワシなどに含まれていて、心筋梗塞や血栓などの予防に役立つ成分として脚光を浴びたEPA(イコサペンタエン酸)や、赤ワインやチョコレートなどで話題になったポリフェノールも、食品の機能性成分のひとつです。

 従来、そば特有の機能性成分といえば、このポリフェノールの一種であるルチンであり、それ以外の成分はあまり期待されていなかったといっていいでしょう。しかし、研究が進むにつれて、そばにはルチンのほかにも、さまざまな機能性成分が含まれていることが明らかになってきました。

 食品の機能性の研究は医療分野を中心に広範に進められていますが、現在、とりわけ注目されているのが、抗酸化性という働きです。
 そばにはルチンだけではなく、カテキン類やプロアントシアニジンなどのポリフェノールが含まれていることが確認されていますが、そのほかにも複数の抗酸化性物質が発見されています。しかも、それらの物質はルチンと同等、あるいはそれ以上の含量で含まれています。

 これらの抗酸化性物質は、現在のところ、活性酸素に対する阻害作用を持つ物質として注目されているわけですが、今後の研究の進展によって、抗酸化性以外の機能性が解明されれば、さらに利用価値が高まると期待されています。

 いま一般に「機能性食品」と呼ばれるのは、保健を目的に特定の生理作用成分を加えて作られた加工食品のことで、その意味では、そばそのものを機能性食品ということはできません。
しかし、栄養成分だけでなく、抗酸化性物質も豊富に含むそばが、三つの機能を備えた食品であること確かです。とすれば、そばは天然の機能性食品としての役割は充分に果たしていることになります。

トップ アイコン「おそばのこと」へもどる

直線上に配置