直線上に配置
ルチンとは何か

 ルチンは植物に含まれる色素成分フラボノイドの一種で、毛細血管を強化して内出血を防ぐ働きがあります。昔から、そばを食べていると脳溢血になりにくいといわれていますが、ルチンは、そばの最も特徴的な機能性成分(抗酸化物質)として知られています。

 ルチンが発見されたのは1930年代。皮膚内や粘膜下などに出血を起こす紫斑病の治療に有効だったためビタミンPと呼ばれていましたが、欠乏症が見出されていないため、現在は独立したビタミンとは考えられておらず、ルチンという名称で統一されています。
最近の研究では、血圧や血糖値の降下作用、膵臓機能の活性化作用などがあることも報告されています。

 ルチンは、ビタミンCと同時に摂取すると、毛細血管の強化作用がいっそう強められる性質があります。

 ところで、ソバのルチンの含有量は、品種や栽培条件などの違いで変わることが分かっています.
これにはソバが生長する際の日照量が大きく関係しています。

 たとえば、日照時間の長い時期に栽培された夏ソバのほうが、秋ソバに比べてルチン含量が多い傾向にあります。また、栽培条件では、栽培地の日照量が問題になり、南方のソバのほうが北方のソバよりも含量が多い傾向が認められています。

ルチンと日照量の関係については、ルチンはソバにとつて「日傘」としての役割を担っていると考えると分かりやすいでしょう。

 よく知られているように、太陽光に含まれる紫外線は日焼けを起こし、皮膚ガン原因にもなります。最近は、大気中のオゾン層が破壊されて紫外線量が増えて、大きな環境問題になっていますが、実は植物も紫外線を嫌います。
 人間だけでなく、動物は本能的に強い太陽光を避けることを知っています。
しかし、植物は紫外線の害を避けるために日陰に移動することはできません。そのため植物は、「日傘」に代わるものとして、それぞれ特有の防御物質を作り出します。ソバの場合は、ルチンが防御物質に当たります。

 ルチンは、紫外線の青から身を守るための成分なので、太陽光にさらされる殻に近い部分、つまりソバの実の外層部分に多く含まれています。

 なお、従来、ルチンは、その多くが茹でている間に茹で湯の中に溶け出してしまうため、そば湯を飲んだほうがよいといわれていましたが、実際には数%程度しか溶出しないことが分かっています。

トップ アイコン「おそばのこと」へもどる
直線上に配置